海外ユニコーンに関わる市場動向を中心としたマーケットコラム

MARKET COLUMN

2020年6月4日

イノベーションでコロナに立ち向かう「ビヨンド・コロナ企業」の取組

4月7日の政府の新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言から2ヶ月弱、流行の第一波を乗り越え、東京都を含む5都道府県の緊急事態宣言が解除された。しかし、第二波発生リスクも各方面から指摘されており、未だ予断を許さない状況にある。また、国外に目を向けると、流行の第一波の最中にあり流行拡大に歯止めがかからない状態の国や、第一波をうまく押さえ込んだものの既に二次流行の兆しを見せている国もみられる。
このコロナウイルス禍により世界経済は停滞し、コロナショックと呼ばれる様な大きな打撃を受けている。しかし歴史を振り返ると人類は、パンデミックや自然災害といったあらゆる困難に直面する度に知恵と工夫で乗り越え、成長を遂げてきた。
スタートアップ企業界隈で言えば、やむなく人員削減やダウンラウンドでの資金調達(既存の企業評価額を下回る企業評価額での株式等発行による資金調達)をせざるを得なくなった企業もあれば、逆に評価を高め、アップラウンドでの資金調達を完了した企業もある。その中で、多くのスタートアップ企業が、スピーディーな経営判断の下、自社のイノベーティブな技術やサービスを活用し、立ち向かおうとしている。
そこで今回は、イノベーティブな技術やサービスでこの難局に立ち向かい、ポスト・コロナの世界も牽引していくであろうスタートアップ企業「ビヨンド・コロナ企業」の取組を、当社が過去に販売したファンドの組入企業3社を事例として取り上げ、各業種の動向と共にご紹介したい。

① 製造業

今回のパンデミックに対し3Dプリンター企業は、その強みを活かして医療現場での医療用具不足にいち早く対応した。設計データさえあれば、各地に配置した3Dプリンターで需要に応じて即時に現地生産できる3Dプリンターのデジタル・マニュファクチャリングは、グローバル・サブライチェーンが分断された今回の状況下でその有効性が証明され、大きな注目を集めた。これを機に、アフター・コロナの世界では、製造業のデジタル・マニュファクチャリングへの移行が加速するのではないだろうか。
事例:Carbon, Inc. (米ユニコーン企業)
米国では3月下旬に新型コロナウイルス感染者が3万人を超え、医療器具の不足が叫ばれるようになったが、Carbon社は、3月23日に不測の事態への対応策についての声明を発表し、翌24日には医療用フェイスシールドやPCR検査用スワブの生産を開始した。その後、医療機関への供給開始し世界中のメディアで報道された。
さらに驚くべきことに、同社は4月5日にはフェイスシールドを週あたり18,000個を生産。しかも顔に当たる部分に、強度と柔軟性を自由に設計できるお得意のラティス構造を採用した設計を取り入れる徹底ぶり。次いで4月8日にはPCR検査用スワブを週あたり100万本を生産という早業をやってのけ、これもテレビや雑誌に大きく報道された。
Carbon社Twitterアカウントより
Carbon社Twitterアカウントより

② ライフサイエンス・ヘルスケア

ポスト・コロナを見据え、遠隔診療やドローン配送(医療用品)、予防医療(アプリでの健康管理)といったサービスが話題に上っているが、目下、もっとも注目を浴びているのはコロナウイルス禍への直接的な解決策となりうるウイルス抗体や医薬品の開発であろう。そこで、その中でも新型コロナウイルス対抗策を、遺伝子の切り口から模索する事例をご紹介したい。
事例:23andMe, Inc.(米ユニコーン企業)
新型コロナウィルスは、個人によって感染時の重症度に大きな違いがあることが臨床結果から知られている。遺伝子データ解析と遺伝子データを活用した創薬支援を行っている23andMe社は、この個人による症状の違いとなる因子を遺伝子から見出す取り組みを行なっている。
同社は4月に同社の個人向け遺伝子解析キットを利用した顧客に向け、新型コロナウイルス感染症に関するアンケートを実施。40万人が回答し、そのうち6,000人が新型コロナウイルス感染していることを確認。さらに、コロナウイルス感染で入院中の患者1万人に対する無料の遺伝子検査の提供している他、感染後に回復した元患者にまで調査対象を拡げている。これにより、同社は新型コロナウイルス感染症の諸症例と遺伝子データの紐づけを行い、研究を進めている。 今後どのような結果が出てくるのか期待したい。
23andMe社の遺伝子検査キット

③ ロボット

新型コロナウィルス禍をきっかけとしたパンデミック予防意識の高まりにより、今後、社会全体の非接触化が進むことはほぼ確実と言えるだろう。従来のコスト削減の観点に加え、パンデミック予防という動機が加わることで、対面で行なっていたことが遠隔化される、もしくは人が行っていた作業をロボットに置き換える動きが足元ですでに急加速している。
もっともわかりやすい例はオンライン・ビデオ会議だろう。特に日本では、顧客を直接往訪しないことが非礼にあたるという感覚や、対面の会議と比べ、オンライン会議では相互の認識共有は難しいといった意識が、これまで大勢を占めており、企業内でのオンライン・ビデオ会議の利用は限定的な範囲に留まっていた。しかし、パンデミックの発生により、否応なくリモートワークが採用されたことで、オンライン・ビデオ会議が感染予防の実現に加え、実際の利用体験を重ねることによって、これまでの懐疑的な捉え方を覆し、幅広い領域で急速に普及しつつある。
同様に、これまで、導入コスト等の様々な障害から、急速な普及・採用には至っていなかった自律動作型ロボットにも注目が集まっている。実際、5月19日の日経新聞では、ロボットの増産が進み、ロボットが遂に普及期に入ったと報道されている。そこで、この報道にも取り上げられた日本のロボットビジネスにおける代表的なスタートアップ企業の事例をご紹介したい。
事例:株式会社ZMP(日本の非上場企業)
自動運転に関わるソフトウェア、ハードウェア両面の技術を有し、独自の自動運転車両を開発・展開するZMP社は、パンデミックの発生にあたり、これまで倉庫などの物流業務向けに展開していた自動搬送ロボットに遠隔監視・操作機能を追加。新型コロナ軽症者を収容するための一時隔離施設で、各部屋への弁当の搬送やゴミの回収などを感染者と対面することなく遠隔操作で行える自動運転車としてリリースし、複数の自治体での導入が検討されている。
また、ビル内を自動巡回・監視する同社の警備ロボットには、消毒液を散布する機能を追加。
2020年度の生産台数を当初想定の10倍の1000台に引き上げるという。(導入金額はサブスクリプション型で月額11万円から)
さらに、無人宅配ロボットも実用化に向け、宅配事業者やスーパー、コンビニ、ドラッグストア等の協力を得て公道を含めた実証実験を提案中だ。近い将来にはネットで注文した商品や食事等を、ロボットが人の手を介することなく無人で配達することが当たり前になっているかもしれない。
物流支援ロボットCarriRo®(ZMP社プレスリリースより)
無人警備・消毒ロボット「PATORO™(パトロ)」(ZMP社プレスリリースより)

イノベーションが切り拓く未来

木から落ちてきたリンゴの逸話で有名な、アイザック・ニュートンによる万有引力の法則の発見は、ペストの流行で在籍していたケンブリッジ大学が閉鎖され、故郷で自由な時間を過ごしていた頃のことだったという。転じて、シェアリング・エコノミーという当時では革新的な新概念の市場を開拓し、短期間で世界的な企業へと急成長したUberやAirbnbもまた、2008年の世界的な金融危機の発生直後に起業している。
今回、当社が過去に販売したファンドの組入企業の中から、3社の事例をご紹介したが、ポスト・コロナ、ウィズ・コロナと叫ばれる中で、有望なスタートアップ企業が次々に頭角を現し、今後、多種多様なイノベーションによってこの災厄が克服されることに期待したい。

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